壁 Advent Calendar 2025 12/5の記事です
皆さんはオーボエという楽器を知っているだろうか。
一昔前なら『のだめカンタービレ』で黒木くんが吹いてるやつ、最近だと『響け!ユーフォニアム』でのぞみ先輩が吹いてる楽器と言えば伝わるかもしれないが、率直に言ってマイナーな楽器である。
見た目はクラリネットにも似ていて、どちらも葦(reed)を空気で振動させて音を出すリード楽器であるが、クラリネットやサックスがリード1枚をマウスピースに装着して息を吹き込むシングルリード楽器であるのに対して、オーボエは重ね合ったリード2枚に息を吹き込んで音を出すのでダブルリード楽器である。ちなみにファゴット(オーケストラや吹奏楽団で右奥のほうにいる)もダブルリード楽器である。
写真左の細長いのがオーボエのリード。アマチュアは完成品を買うことが多いが、ある程度ガチろうとすると自分好みの音色や吹き心地を求めるために自作することになり、リード制作も奏者の技量の一つとされる。

音色は独特で、「ちょっと鼻にかかったような甘い音色」などと表現されるが、伝えるのが難しいので興味がある人は動画を見てほしい。オーボエはオーケストラや吹奏楽に登場する楽器で、独奏楽器としての役目を担うことが多く、美しい協奏曲やソロがたくさんある。
多分オーボエが活躍する曲で一番有名と思われる、モーツァルトのオーボエ協奏曲。のだめの黒木くんが吹いてたのもこれ
https://www.youtube.com/watch?v=oRpLxZsOa4A&t=92s
オーボエはモノとして非常に繊細な楽器で、何もしてないのに気温や湿度の変化で調子悪くなるのは日常茶飯事である。いずれ別な記事で述べるが、これに頭に来て自宅に加湿機能付きのハイエンドな全館空調を導入した。
オーボエを始めるとメンヘラになると言う人もいるが、よくわからない挙動をする基盤モデルの開発よりは目指すべき方向がわかりやすいと自分を説得することで今のところ耐えている。
https://www.youtube.com/watch?v=xuvZgGB5Qsw
またこれはオーボエに限った話ではないが、楽器は半ば手工芸品のようなものであり、高価な上に個体差もかなりの程度ある。オーボエは新車買えるぐらいの値段でもあるので、購入に際しては信頼できるプロと慎重に選定するのが良いだろう。ちなみにファゴットは4桁万円がザラであり、ドイツでおじさんが手作りしてて10年待ちだったりするので異次元の世界である。
お金かかる趣味をやろうとすると正気は早めに捨てたほうがよいが、幸いにして自分は博士課程の時にどっかに捨ててきたので、特に問題なくお気に入りの1本に巡り合うことができた。

なんでそんなマイナーで大変な楽器に手を出したのかといえば、音色が素敵だと思ったとかフランソワ・ルルー(オーボエの名手)の演奏に感動したとか、ダブルリードをやってみたかったとかで、特に深い理由はないのだが、ともかく、1.5年ほど前に、アラサーにして未経験のオーボエを手にしたのだった。